義務教育って、お金の授業がほとんどない気がします。
中学の時に公民の授業で、税金や円高・円安の違いについてちょこっと触れる程度では?
おかげで就職して社会人となった1年目から、よく分からないまま。
会社がくれる給料から社会保険料を天引きされていることにも気付かず、親に勧められるまま保険に入ってました。
何にも知らないまま2年半で会社を辞め、翌年に年金と国保と住民税に苦しめられたのは、懐かしい思い出ですよ。ちくしょーめ。
なんで学校で、もっと、ちゃんと教えてくれなかったのか?
社会人として生きてく上で、あったらよかったお金の知識。
今回読んだ「今さら聞けないお金の超基本 節約・貯蓄・投資の前に ビジュアル版」では、そんなお金の基本的な知識がまとめられていました。
お金の機能、税金、社会保障、公的年金、民間の保険、金融商品…
国に払うお金、申請すれば戻ってくるお金。
高額医療費、NISA、iDeCo、源泉徴収票の読み方、介護保険、住宅ローンなどなどなど。
浅く広く広く広く、お金に関する情報が図解によって、一目ですっきり分かりやすく説明されています。
まさに、ビジュアル版。
なんというか、雑誌のマネー特集を集めて1冊に収録したような本です。
内容は本当にお金の基本的なことなので、FPの勉強をしたことがあるような人には、もの足りないかもしれませんね。
あと、お金の本質や概念といった部分は本書では触れてませんでした。
さらっとお金の歴史が紹介されてたくらいです。
- 社会人1年目のサラリーマン
- 自分のライフプランを立ててみたい人
- 家計を預かる立場で、お金の基礎知識に不安がある人
お金の超基本の概要
タイトル:「今さら聞けないお金の超基本 節約・貯蓄・投資の前に ビジュアル版」
著者:坂本 綾子
監修:泉 美智子
著者・監修のお二人は、FP(ファイナンシャルプランナー)の方です。
内容は、お金に関する基本事項について。
以下の7つのchapter(チャプター)に分けて、説明されていました。
- お金とは?
- 稼ぐ
- 納める
- 貯める
- 使う
- 備える
- 増やす
各チャプター内で、さらに細かく項目に分かれています。
1項目見開き1ページの図解形式。
表、グラフ、フローチャート、イラスト、色分けがされた見やすいレイアウトで、とても分かりやすいです。
難点をあげれば、字が小さい箇所があることくらいですね。
まずchapter1を読み、あとは興味のある項目だけ読んでいってもいいと思います。
今すぐ使わない情報も多いので。
図解で視覚的に理解しやすいので、繰り返し見返すことで基本的な知識が記憶されるような使い方がいいのかと思います。
「お金の超基本」を読んだ感想
正直いって、面白くはなかったです。
図解は本当にわかりやすく、絵や表、色分けのバランスがちょうど良いなと思いました。
レイアウトのセンスがいいですね!とても見やすかったです。
内容が、お金に関する各種制度の説明が主であって、著者の持つお金の美学や哲学といったものはほぼ感じられませんでした。
客観性が保たれてている証拠でしょう。
だから読んでて、面白くなかったです。
読みものじゃないんで、当たり前ですけど。
自分が今興味がある項目だけ読んで、それ以外はとばしてしまいました。
また必要な時に、読めばいいやと思うので。
全体的に、堅実かつ保守的だなと感じました。
手取り22万円は中央値?
気になったのが、解説で例にあがっているモデルケースの給与が、どれもだいたい手取り22万~30万未満であること。
30代サラリーマン男性を想定しているのでしょうけど、平均値なんでしょうか?
私の感覚では、今の30代って給与面は個人で大きく差があって、二極化しているイメージです。
平均値じゃなく中央値でいけば、手取り月収はもっと低くなると思うんですよ。
手取り14万円が話題になってたくらいですし。
一般的なケースを例に持ってくるのがいいんでしょうけど、はたして手取り月収二十数万円は一般的なケースと呼べるほど大多数を占める層なんでしょうかね?
私が田舎住みなため、感覚が違うのでしょうか?
給与とか貯金額のデータって、平均じゃなく中央値知りたいなぁと思うんですよね。
保険の説明はよかった
さて、私自身は元保険屋だったので、保険に関するページはほぼ知っていることばかりでした。
「保険で貯める」の項目も、仕組みの説明と元本割れのリスクについて書かれており、「強制的な貯金力がある」みたいな馬鹿馬鹿しい理論がなかったのは好印象です。
一方、chapterの間に載っているコラム「実際どうなの⁉︎お金のリアル事情」にあったがん療養中の生活費を就業不能保険でまかなった話はどうなの?と思いました。
5年間で18万円払って、がんで入院して90万円もらえたといった内容でしたが。
これ読んで、入っとかなきゃ!と安易にならないといいですけど。
このコラムから読み取れるのは、この「就業不能保険」というのは、単純計算で5人いれば4人はこの保険のお世話にならないっていう程で設計されている保険商品であるってことです。
必要とする確率1/5。
実際の商品設計はもっと複雑な計算で、保険屋さんの利益もありますからもっと低いでしょうし。
年齢もあるし、どんな仕事でどんな生活していて、どんな人間関係を持っていて、どれくらい資産があるのか?
人によって全部変わってきますので、無駄に不安を煽られないで欲しいなと、ちょっと思いました。
参考になったと思うのは、介護保険の部分ですね。
最近まで祖父母の介護で、介護保険のお世話になっていました。
手続きなど両親が行なっていたので、私自身は詳細を知らないままでしたので。
身近で事例があると、やっぱり興味を持つものですね。
次は両親が介護保険のお世話になる番がきて、私が手続きしなきゃいけないだろうと思うので。
予備知識は、いざという時の心の余裕につながりますから大事です。
投資に関しては別の本も読むべき
最後の投資のchapterは、内容が薄いと感じました。
投資に関しては、本書とは別に、投資をテーマにした本を複数読むのがいいと思います。
私のおすすめは以下の3冊です。
まず、投資未経験の初心者におすすめしたい1冊。
「コミックでわかる 20代から1500万円!積み立て投資でお金をふやす」
マンガでさらっと読めるし、絵もきれいで読みやすいです。
若いうちから、リスクの少ないドルコスト平均法で積立していくと有利だよっていう話が載っています。
暴落した時はどう対処すべきか、投資のメリットとリスクはなんなのか。
投資の基本的な仕組みについて学べる本です。
何よりマンガだと読み返すのが楽なので、繰り返し読んで覚えるのに便利です!
次は、私が投資を始めたきっかけの本。
「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」
今も手元に残して、読み返してます。
自分の気質にあっているのか、この本の投資に対するスタンスが妙に腑に落ちるんですね。
こうした方がいい。なぜならこういう理由だから。
こんな感じで理論的に解説してくれています。
こちらも投資未経験の初心者におすすめの1冊です。
最後に、真似できないと思ったすごい投資法。
「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」
投資で稼ぐために、どれだけのストレスがあるのか。
それを感じられる凄まじい本でした。
私はリスク許容度が低いチキンなので、絶対マネできないな〜と思います。
しかし合理的な方法だとも思いますので、読んで損はしません。
成功者の思考・視点を読めるのは、本のいいところです。
あとすっごく個人的な意見ですが、どんな勉強をするにせよ複数の、できれば真逆の主張をした本を読むといいと思ってます。
投資なら堅実でローリスクな投資法と、ハイリスクハイリターン推しの本とか。
両方の意見を聞いて、自分はどうしたいと感じるのか。
自分で考えて決めることが、何より大事だと思います。
自分で決めたことの方が、人の意見にただ従っただけの時より頑張れると思うからです。
壁にぶつかった時は特に、自分で決めたという自負は踏ん張る力になってくれます。
2つの相反する主張の本を読めば、少なくともどちらを信じるのか、もしくは別の答えを出すのか、自分で決めることになるのでね。
自分の意見をもつのが苦手な、私のライフハックです。
まとめ
感想をまとめますと、「今さら聞けないお金の超基本 節約・貯蓄・投資の前に ビジュアル版」は広く浅くお金の基本的な知識を網羅できる本だと思います。
堅実と正確性を重視して書かれている印象で、図解はセンスがよく分かり易かったです。
新社会人や家計管理で基礎知識が足りないと感じている人におすすめしたい本です。
注意したいのが、制度は変わるということ。
辞書やタウンページのように使える本書ですが、書かれている制度を利用する前は最新の情報を確認が必要ですね。
本書は本当に基礎知識だけで、お金の本質や概念を学ぶには物足りないです。
とはいえ雑誌のマネー特集に振り回されるよりは、この本1冊手元において置いたほうがお金のリテラシーは磨かれそうですね。